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薄桜鬼オンリーイベント【ゆきさくら 第五章】

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2011/08/24 Wed  13:02
終章 『散らない花』(薄桜鬼 土方×沖田)

BL要素を含みますので、苦手な方はご遠慮下さい。
また、他章にてR18指定の内容がでてくることもありますので御理解のうえ、お読みください。


散らない花最終章になります。
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終章 『散らない花』(土方歳三)

(慶応四年四月 会津)

 「何故、近藤さんを見殺しにしたんですか!!」
 総司が襟元をつかみながら、激しく詰め寄る。

 新選組局長である、近藤勇が、投降し、斬首させられたことを知った総司は、無我夢中で、馬を走らせ、俺のいる会津においたこの陣屋まできたのだ。
 江戸で別れたあの日から、たった二カ月。
 風間との一戦で大きくおった傷を治し、立て直しをはかるべく、駐屯していた最中のことだった。
 風間の攻撃はすさましく、それを受けるために、自らも変若水をのみ、羅刹となって戦った。
 風間が持っていた刀が特殊なものであったらしく、羅刹となったというのに、傷の治りも遅く、こうして足止めを食ってしまっている。
 そうまでして突き進もうとする俺の姿を、近藤さんは身の詰まされる思いで見ていたのだろう。
 きっとそれは、あの日、羅刹になった総司を目のあたりにした俺と、そう変わらない思い。

 『なぁ、歳。そろそろ楽にさせてくれないか。俺を担ぎあげるために、走りまわって、羅刹にまでなって・・・。そんなお前を見ているのは、辛いんだ』
 そう言って、今まで、言ったこともないくせに、局長命令と言い放ち、近藤さんは俺を生かした。
 何もできなかった、何も・・・。

 どれだけ、責められても、何一つ口にすることはできなかった。
 一緒に守ると誓った人、何をおいても連れ帰らなけりゃいけなかった人を。
 置いて、きちまったのだから。

 この人しかいないと信じ、あきらめきれず、抱いた夢を、侍になるという夢を一緒に歩いてきた。
 百姓あがりの田舎者が、ここまで這い上がるのに、血を嘗めるような努力をしてやっとつかんだはずの、儚い夢。
 自分ひとり生き延びて、ここにいる。
 こんなはずではなかったのに。
 総司が、どれだけの思いを抱いて、ここまできたのかなど、痛いほどわかるのだ。
 何故?それは、俺自身が一番・・・・。

 「どうして・・・」
 俺の胸襟を握りしめたまま、力なく、その胸元に、総司が頭をうずめる。
 ただなされるがまま、俺はその体重を受け止め、天空を見上げた。
 長い沈黙。

 「すまない・・」
 絞り出した声は、自分自身の心をえぐる。
 胸にしがみつき、声を出さずに泣く総司を抱きしめることすら、罪な気がした。
 そうして、どれくらい、総司が俺にしがみついていたのか、月明かりが、二人を照らす。
 と、ふいに総司が、苦しげに、身体を揺らした。。
 「けほっ、カハッ」
 激しい咳を繰り返し、総司が服をつかんだまま、胸をえぐる。
 何度も激しい咳をして、鉄くさい血の匂いが口の中に広がる感覚に、総司が苦痛の表情を浮かべ、脂汗がにじみ出る。
 無理をしたつけがきている。
 体中におもりをつけて歩いているような感覚が、総司の頭上から全身へと重力をかける。
 「グッ」
 やがて、喉を突き上げる逆流が、押し上げて、俺から身体を話、口を押さえた瞬間に、赤黒い血液が勢いよく零れ落ちた。
 「・・・・ぁ」
 とめどなく、何度も喀血を繰り返す。

 「総司」
 あわてて、その背を撫でるが、荒い息を繰り返しながら、咳と喀血の苦しさに、歯を噛み胸を上下させている。
 より強く、押し上げた逆流が、今までにないほどの血を肺から押し出し、口を押さえた手のひらから、紅い水滴がボタボタとこぼれ、砂地を染めた。
 立ちこめる血の匂いに、俺の血がざわめく。
 羅刹となった身が、血の誘惑にひきよせられる。
 なんとか衝動を抑えながら、崩れ落ちる総司の身体をだきとめていた。



 >>>>

 運ばせた部屋に一人残り、総司のそばに腰かける。
 青白く、明かりに照らされる総司の頬に手をふれて、かかる前髪をすく。

 『トシ、新選組の隊士たちと、それから・・・総司を宜しく頼むよ』

 最期に残した、近藤さんの言葉がよぎり、目の前が霞んだ。

 「土方さん、泣いてるんですか?」
 気がづけば、床にふした総司が、まっすぐに俺の顔を見ていた。
 俺はあわてて、自分の眼がしらを手の甲でぬぐってとりつくろう。
 「泣いて・・ねぇよ」
 鼻をすすり、そっぽを向く。
 「泣いても、いいですよ?」
 クスリと総司が笑う。
 「泣かねぇよ」
 「全く、強情な人だなぁ。・・・・・土方さん、こっちを向いて下さい。」
 あわせる顔がなく、違う方を向く俺の袖を総司がひっぱる。
 「俺は・・」
 「こっちを向いて下さいよ」
 言いかける俺の袖をさらに総司がひっぱる。
 しぶしぶ向けた俺の顔を見て、総司が目を細め、腕につかまりながら身体を起こす。
 「総・・・司」
 身を起こした総司の唇がぐっと、顔を寄せ、俺の唇に重なる。
 そして、首に腕をまわし、耳元に囁く。
 「・・・・土方さんが、生きていて、良かった」
 「・・・・」
 「おかしいですね。近藤さんを亡くしたらもっと、悲しいと思っていたのに、土方さんのことばっかり考えて、僕はここまで来たんです。土方さんが負傷してるって聞いて、心臓が・・・止まるかと・・生きていると分かったら、ひどいことを・・」
 ギュッとつかまる総司の腕の力が少しだけ強くなる。
 「総司・・・・本当に・・・」
 謝罪しようとする俺の口を総司は人差し指を差し入れて制止した。
 「駄目ですよ、土方さん。近藤さんは、新選組を、土方さんに託した、そうでしょう?」
 「・・・あぁ」
 「なら、僕が守るべき人は、土方さん、あなたじゃないですか。僕の大好きな近藤さんが、あなたに託したのでしょう?あなただから、託したんです。近藤さんは、そういう人ですから。だから、悔んでいる時間なんて無いんじゃないですか?近藤さんの願い、生きて、しっかり守ってくれなくちゃ、いけないんですよ。でも、大丈夫ですよ。僕は、ここにいます。たとえ、この身がつきたとしても、です。人であるあなたのそばにも、鬼の局長、である、あなたのそばにも。だから、局長仕事で胃がキリキリしたら、僕のところで泣いたらいいですよ」
 「それは、・・痛い話だな」
 クスクス笑う総司の身体を今度は俺が抱きしめる。
 『お前は、強いな、総司。追いかけても、追いかけても、一歩前を逃げて行く。』


 もう人眠りするからと言うので、部屋をあとにする俺の背中を見つめながら、総司は心の中で呟く。
 『土方さんと共に、ありたかった・・・あなたのそばに・・・いたかった・・
 いてあげれれば、良かったのに・・・。
 あなたは、一人、どんな思いで、ここまで来たのだろう。
 もう、僕にはそれほど時間がない。
 この肺も、この手にあるまがいものの力すら・・・』
 総司は、布団で顔を覆い、ギュッとそれを握りしめた。
 胸元に、忍ばせた、俺の髪を、そっと開いて、抱き寄せる。
 「ゴホッゴホッ」
 付きあげる、咳に耐えながら、眼を閉じた。


 >>>>

 次の日の夕刻、陣屋はにわかに騒がしく、多勢の男たちがおしかけて、乱闘が始まっていた。
 『土方を探せっ』

 怪我をしていると効きつけた浪士たちが、今が好機とばかりに、攻め込んできたのだ。

 その声を聞きつけて、総司は服を整え、枕元の刀を握りしめる。
 俺の部屋は、総司のいる場所とは、逆の離れにあった、
 万が一にこういったことがあった時、少しでも離れた場所の方が、逃しやすいと考えていたからだ。

 しかし、総司は、そこを抜けだし、襲撃をかけようとする集団を追う。
 気を張り詰めているせいが、不思議と、あれだけひどかった咳はなりをひそめていた。

 陣屋へのりこむ一団を目視すると、総司は静かに、剣をぬく。
 その鉄の重みが手のひらに伝わった。
 かつてあれだけ、軽々と振り回していたその一振りは、とてつもなく重く感じられた。
 握る力をなくした腕が、刀を落としてしまわないように、細くちぎった布で、ぐるぐるとまきつける。

 たとえ、ここで果てるとしても、あの人を生かしてみせる。
 誰よりも、あの近藤さんが生かしたかった人を、新選組を背負うその人を。
 誰よりも大好きな・・・

 浪士や、隊士たちが入り乱れての乱闘が始まる。
 総司は、迷わず、その人がいる、陣屋の中を目指した。
 途中、総司に気付いた、隊士たちが声をあげたが、
 「僕にかまってる暇があったら、浪士どもをなんとかしなよ。陣屋の中まであげて、どうするのさ」
 怒りまじりに声をあらげて先へと切り込む。
 多勢で押し掛けた浪士どもが、もう、屋内にまで入り込んでいた。
 頼りの斎藤も、会津藩への用向きで不在ときている。
 先の戦いでの負傷者が多かったのも災いしていた。

 目指す部屋をみつけると、その中からも刃がかち合う音が聞こえた。
 中に数人、襖扉をあけようとすると、総司をおった浪士どもも多勢でせまってくる。
 「ちっ」
 と舌打ちをしながら総司がそれを薙ぎ払う。
 と同時に部屋の中から、
 「ぎゃー」
 という断末魔の悲鳴があがり、襖ごと、吹っ飛んできた。
 追いかけるように、そのできた空洞から外へでようとした瞬間目にうつる総司の姿に、瞠目する。
 それをしり目に総司が、次々と多勢の浪士をきりふせる。
 それでも埒があかない。

 「貴様、何者だ!!」
 一歩もひるまぬ総司を目にした浪士たちが、口々に声をあげる。
 総司は不敵な笑みを浮かべて見せた。
 みるみるうちに、髪が白く染まりゆく。
 風に揺れる髪の隙間から、紅い瞳があやしくゆれる。
 「化け物・・・」
 その姿の変貌に、おののく浪士を射すくめて自分の存在をたからかに名乗る。
 「新選組、一番隊組長、沖田総司!!この先へ行こうとする奴は、僕が全員斬って捨てる」
 腕についた血の塊をぞろりと舌でなめとりながら、刀を握る手に力をこめる。
 新選組にあだ名すものを許しはしない。
 言い終わるが早いか、閃光が閃く。
 立ち向かう幾多の群れに、おくすことなく、打突をくりだす。

 『まだ、戦える、もう少し・・・もう少しだけ』

 新選組、最強の剣士。
 近藤勇に育てられ、土方歳三に愛された、1番を背負うその名を。
 血しぶきが、その身をよごし、視界をさえぎろうとも、一歩もひくわけにはいかないのだから。

 俺もまた刀を構え直し、その戦線に加わる。
 何故来たのか?と論議している時間を周りは与えてくれそうにない。
 総司と背中合わせに浪士どもと対峙する。
 「ちょっと、土方さん、隊士の教育、なってないんじゃないですか?」
 背中がふれるなり、総司が不平をいいだす。
 「うるせぇ、相変わらずの人手不足なんだよ」
 緊張感のかけらもない会話。
 「ほんと、これじゃぁ、おちおち休んでられないじゃないですか。千鶴ちゃんはどうしたんです?」
 「あぁ、島田に頼んで裏口から逃がした。」
 「そういうところは、ぬかりがないんだっ」
 向かい来る浪士どもをあしらいながら、無駄口をたたき、前からくる浪士を蹴飛ばし、刀を振るって次の新手をねじふせる。

 懐かしい、まるでまだ、日野にいたころのようだった。
 喧嘩を売ってくる輩の挑発を買っては、二人で暴れた。
 総司はめっぽう強かったし、俺も、そうだったから、よくこうして、総司が嫌味をいい、俺もそれにのって、こんな調子で戦っていた。
 それを知った、近藤さんや姉には、よく怒られたものだが、総司ときたら、
 「僕のせいじゃないですよ。土方さんが喧嘩を買うからいけないんです。囲まれちゃったら、倒すしかないじゃないですか」
 と言うものだから、自分が先に喧嘩を買ったくせに人のせいにしやがって、と言い合いが始まり、
 「まぁまぁ」
 と困った顔をして近藤さんがなだめ、姉は深いため息をはく。
 あまりにとめどなくやっていると、しまいには、姉が切れて、木桶にためた水を勢いよくかけはなち、水浸しで二人、茫然と姉を見上げた。
 それが日課のようなものだった。


 斬っても斬ってもきりがない。
 風間にやられた切り傷が、ずきりと痛む。嫌な汗が額を伝わり、背中へと落ちていく。
 「きつそうですね、土方さん。けが人はそっちで休んでたらどうです?」
 総司がいう。
 そういう総司も、息があがってきていた。
 羅刹で、常人ではない力を発揮しているとはいえ、労咳を抱えた総司にとって、これほど動きまわるのは、自殺行為に等しい。
 「てめぇにだけは言われたくねぇな。そっちこそ病人のくせに無茶しやがって」
 「ご老体の土方さんと違って、僕はまだ若いですから。多少無理をしても平気なんですよ」
 「誰が老体だ、まだまだ、負けるわけにゃぁいかねぇんだよっ!!」
 まだ動こうとする、足元の浪士の手を踏みつけ、横からくる奴の溝打ちに、刀の柄を力強くうちこむ。
 総司の打突が、得意の二段突きを見舞う。
 それでも絶えずに無駄口をたたく。
 こいつがいれば、負けることなどありえないと信じているから。

 「副長、ご無事ですか」
 裏口のほうから、隊士が数人入ってくる。先頭にいたのは、斎藤だった。
 会津藩に用向きにでていたのだが、どうやら帰ってくることが出来たらしい。
 「遅いよ、一くん」
 打突でつらぬいた浪士を足でけり倒しながら、援軍に笑みを送る。
 「総司・・・」
 斎藤が、驚いた顔で口をあけた。
 襲いかかる浪士を五月蠅いとばかりに腕で押しのけながら、抜刀を放つのを忘れない。
 「一くんが来たなら、ここは大丈夫だね。僕は、外のやつらをなんとかしてくるよ。」
 総司が身をひるがえし、突破をかけようとする。
 「待て、総司!」
 斎藤が声をあげるが、総司はにいっと笑うと、
 「土方さんは、まかせたよ、一くん」
 猫のように軽やかに、止める間もなく、刀を翻して廊下の闇へと消えていった。


 >>>>

 すべてが終わり、静けさが広がる。
 状況を把握すべく、外へ出ると、あちらこちらに、負傷者と死骸が転がり、入って日の浅いだろう隊士たちが、茫然と口をあけて立っていた。
 おおかた、この躯の惨劇を繰り広げたのは、総司なのだろうことが見てとれた。
 しかし、見渡せど、その姿は、どこにもない。
 いいようのない不安が押し寄せる。

 「土方さん、ご無事で」
 斎藤が情報収集に走りそばを離れると。
 島田とともに、戻った千鶴が俺の姿をみつけて声をかけてきた。
 しかし、その声すら耳に入らない。
 俺は必死で総司を探した。
 隊士が見据える先を追う。
 先ほど無理に動いたのがたたったのか、包帯から血がにじむ。
 忘れていた痛みが押し寄せてきた。

 「総司・・・」
 不安が心臓をつかみ上げる。必死で前へとふみだす俺に、千鶴が叫び声をあげた。
 「土方さん、どこへ行くのですか!」
 千鶴が走り寄り、留めようと腕をつかむ。
 その華奢な手をはらいのけて前へと進む。
 「土方さん、戻って下さい」
 「うるさい!!総司を探さなきゃいけねぇんだよ」
 前を見据えたまま突き進む。
 「沖田さんも戦っていらしたのですか?・・・、待って下さい!私もお伴させて下さい」
 「局長!」
 向こうで隊士に支持をだしていた斎藤も気づいてそれに追随する。
 まだ、残党がいるかもしれないと止める声も届きはしない。
 わき目もふらず、前へ前へと足をふみだす。
 俺はただ、ひたすらに、重い体をひきずって歩いた。


 >>>>

 陣屋の脇の竹林の奥、空がうっすらと白み始める。
 その抜け道の向こうに、光を背負う影を見つけた。
 無残に、切り刻まれ紅く染まった浪士の躯が転がり、持ち手をなくした、何本ものぼろぼろの刀が無造作につきささっている。

 その暁に染まる光の中に、影が背中を向けてゆらりと動く。
 真っ白な羅刹の髪が、飛び散った血で紅くそまり、風にゆらいでいた。
 俺は、ぼんやりとしたその姿を、立ち尽くして見つめた。
 「総司・・・・」

 愛しいその名を呼ぶと、こちらの姿を見つけた影が、ふらりと揺れて、ゆっくりと振り向いた。
 紅い双眸が俺をとらえて光る。
 俺の姿を凝視すると、眼を座らせて腕を持ち上げる。
 手にした刀の刃を紅い舌がぞろりと舐めた。

 「総司・・」
 あまりに、多くの人を殺し、血にのまれ、狂う羅刹。
 総司の顔をした・・・・。


 『もしも、僕が血に狂ってしまうようなことがあったら、その時は、土方さんが斬って下さいね。』


 忘れたかった言葉が蘇る。
 「総司」
 もう一度名を呼ぶ。
 獲物をみつけて喜び光る
 瞳は、明らかに、総司の自我をもたぬ羅刹の姿にうつって見えた。

 ニイッと口の端が引きあがる。

 息を飲み、目を閉じて、自分の刀に手をかけ、それを曳いて構えた。
 空気を読み、戻って欲しいと願いながら、間合いをとる。
 しかし、目を見開いた総司が、自身の刀を構えて、飛び込んできた。
 「くっ」
 どこに、これほどの力が残っていたのかと思うほどの衝撃が、しのいだ刀に伝わって四肢をしびれさせる。
 すぐさま、構え直して、次の衝撃にそなえる。
 願いを打ちのめすような次の衝撃がさらに、刀の刃を押し上げる。
 いっさいの手加減のない、総司の打撃。
 さすがに、近藤さんの一番弟子、新選組最強と謡われた剣の腕は、一筋縄ではかえせない。
 油断をすると、鋭い二段突きが容赦なく差し迫る。
 狂気に満ちた顔が、クククと笑いながら、息があがる俺のあがく姿を舐めるように見下ろした。

 「くそったれ、総司っ!!」
 ガンっと激しく、剣をあやつり、その手を払う。
 『何故、こうなる?何故、こんなことになる?』
 総司の放った剣先が、腕を裂く。
 自分にも流れる羅刹の血が、それを追うようにふさいでいく。
 総司に放ったその剣筋もまた、スーッと何事もなかったかのように消えた。

 「土方さんっ」
 「局長っ!!」
 追いついた斎藤と千鶴が、声をあげるが、その手の先で嘲笑う、総司の姿に目を見開いた。
 斎藤が、自分の刀に手をかける。
 「斎藤、手を出すなっ!!」
 総司に対峙したまま、俺はありったけの怒声をはなつ。
 「しかしっ!!」
 斎藤が食い下がるが、俺は引く気はない。
 「手を出すなっ」
 その鬼気迫る声に、刀に手をかけたまま、斎藤が息をのんだ。

 降り注ぐ次の一振りをさらに、押さえて、間合いを測る。
 容赦なく繰り出す刀の切っ先が、また俺の腕を斬り裂く。
 「痛っ」
 唇をかみ、それに耐える。
 人の力では勝てぬその力に、荒い息を繰り返し、力を開放する。
 総司と同じ羅刹の力を。
 黒い髪が、白く色を変えて行く。
 瞳は紅く、総司を睨んだ。
 負けるわけにはいかなかった。
 生きて、新選組を守る。
 近藤さんに託されたあいつらを守なくちゃぁいけねぇ。
 こんな列強にも耐え、ついてきてくれた奴らを。
 
 最期の約束、これくらい、守れねぇなら、俺の立つ瀬がない。
 そうだろう?

 目の前の狂気した総司の奥底に眠るだろう、心に語りかける。
 お前に、俺は殺させない。
 必ず、俺が、お前を斬る。

 斬ってやるから・・・。

 襲い来る総司に向かい、足元を蹴りあげて、砂をまく。
 ひるんだすきに、次の手をだす。
 それでもさすがは総司だ、それくらいじゃぁ、やらせてくれねぇか。

 また、次の手を考える。
 そうして何度も交わし、剣をとらえ、押しやり。そして・・・

 「ぐあっ」
 鈍い総司の悲鳴が、竹林に響く。
 俺の手に握られた、刀の剣先が、まっすぐに総司の心臓をつらぬく。
 その、ほんのわずかな瞬間、総司が安堵した顔で笑った・・・気がした。

 ささったまま、落ちてくる身体を俺はその腕で抱きかかえた。
 「・・・・・土方・・さ・・・ん・・どう・・して・・来たん・・です・・・・か?」
 総司の声。苦しげな表情がふわりとまぶしそうに目を細め俺の顔を見る。
 「そう・・・じ・・お・・・前・・」
 正気、だったのか??

 ・・・こいつは、初めから・・・。
 痛みに耐えながら、上げられた顔が太陽の光にゆらいだ。
 くったくのない、あの頃のような、悪戯めいた顔をして。
 「ごめん・・ね、土方さん・・・」
 けれど、その形は、ふらふらとボウフラのように怪しくゆれて、やがて、ぼろぼろと、こぼれおちながら、崩れていく。
 ざらりとした、灰の感触がはらはらと、頬をあたって零れていく。

 『僕は、消えたりしませんよ、今度こそ、あなたのそばについていてあげるから・・』

 消えゆく中、小さく薄れていく声が耳を駆け抜けていった。

 あの日と同じ、儚げな笑みから一滴こぼれおちる水滴が光とともに消えていく。
 風にあおられて、散りそよぐ花弁のように。

 「総司っ!!」
 手にひとかけらすら残らずに、陽光に煌めいて霧散して消えた。
 羅刹になって、知ったことがある。
 力を使う内に、自分の寿命が見えてくる。
 蝦夷までくる途中にも、そうして、平助と山南さんが灰となって消えて言った。

 目の縁を涙がにじむ。
 とめどなく頬を伝って零れ落ちた。
 短かったのか、長かったのか、その様を腕に抱えたまま、ぼやけた瞳で見送った。
 こぼれおちた刀が一振り、ザックリと音をたてて、地上に突き刺さる。
 絡んだ細い布切れが、所在無げにたなびいた。

 その様を、見て、千鶴が膝をついて、その場に崩れ落ちる。
 怪我をしないようにと守っていた斎藤が、やはりその双眸を開いたまま、千鶴の肩を支えていた。

 それに背をむけたまま、足元につきささる、その一振りに手をかける。
 戦いの壮絶さを物語るかのように、原型をとどめぬほどに刃こぼれを起こした総司の愛刀。
 まだ温もりのある、突き刺さったままの、刀身を両手でつかみ、首を垂れる。
 しがみつくように、体重をあずけ、膝をつく。
 ・・・・・。
 それにしがみついたまま、小刻みにゆれる俺の背中をみつめ、二人は、近寄ることもできず、見ていた。。


 『土方さん、僕は、新選組の剣になりますよ。近藤さんを守る剣になるんです』
 『あぁ』
 『こんな僕でも、土方さんはいいんですか?』
 『あぁ、かまわねぇさ。もう決めたんだ。必ず、近藤さんを押し上げてみせる。お前と一緒に・・・な』

 消えて行く約束。

 『近藤さんの願い、生きて、しっかり守ってくれなくちゃ、いけないんですよ。でも、大丈夫ですよ。僕は、ここにいます。たとえ、この身がつきたとしても、です。人であるあなたのそばにも、鬼の局長、である、あなたのそばにも。だから、局長仕事で胃がキリキリしたら、僕のところで泣いたらいいですよ』

 近藤さんの願いには、お前を守るってことも入ってんだよ、馬鹿野郎が。
 てめぇの姿がなきゃ、泣けねぇだろうが・・・
 胃が痛くなったら誰が面倒みるんだよ。
 勝手なことばかりいいやがって、
 こんな事まで・・・・。
 本当に、我儘で、我儘で・・・・・最期まで、世話をやかせやがる・・・・・・・・・・本当に、素直じゃねぇ・・・・。


 >>>>

 四半刻ほどたっただろうか、
 目を堅く結び、やがて、意を決して立ち上がる。
 刺さったままの刀を見下ろし、微笑みかけ、拳を握りしめると、そのまま、ゆっくりと、背を向けて歩きだす。
 陣屋へと引き返す俺の後をあわてて、千鶴と斎藤が追いかける。
 「沖田さんの刀・・・」
 放り出して歩き出す、そのことが理解できないのだろう。走り寄った千鶴が、俺の服をつかんで、置き去りにされた、それに向かってたちつくす。
 「あぁ、いいんだ。飾り物の刀なんていらねぇよ。誠の刀は、この手の中にあるからな」
 そう言って、笑いかけた。

 今度こそ・・・一緒に行こう。



 >>>>

 いつもいつも、間に合わない。
 いつも、いつも、つかんだ先からこぼれ落ちていく。
 
 追いついたと思ったら、逃げていく。

 重たいものばかり残していきやがる。
 それでも生きろといいやがるから・・・・。
 いいやがる・・・から・・・

 だから、総司、せめて、最期の最期まで、俺の生きざまを、そこで見て・・・いやがれよ。
 お前が守りたかったもの全部、責任とって守ってやるから。
 てめぇがもう、疲れたって駄々こねるまで、生き抜いてやるよ。
 そうしたら、遅いって、いつになったら、いちゃいちゃしてくれるんですか?とか言いながら、迎えにくればいい。

 明治二年五月十一日、函館五稜郭で、銃弾に倒れるその日まで、鬼のごとく前を見据え、ついてくるものの、武士としての魂を守るために、一人、誠の旗を掲げたまま、銃弾の降り注ぐなか、刀一本握り締め、ひたすらに駆け抜けて、そして散った。

 『誠にあの人は、最期まで本物の武士であったよ。』

 後に語りつがれるその人の、
 一人の鬼に、『薄桜鬼』と言わしめたその人の、
 生きざまのごとき、凛と誇る桜が咲く。
 花びらが、崩れゆくその亡骸を守るように舞い散っていた。




 散ってなお、咲き誇るのは・・・。
 永遠に煌めく、胸中の花。




  <完>
2011.7
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プロフィール

十六夜桜(通称:野良猫)

Author:十六夜桜(通称:野良猫)
野良猫と申します。
あっちでは薄桜鬼、こっちでは白華の檻と乙女ゲーに踊らされております。

お読み下さい

※当blogにある画像及び、小説等について、転載及び、個人で楽しむ以外の使用はご遠慮下さい。

※タイトル欄や本文に<R18指定>と記載されているものにつきましては、教育上宜しくないと思われる内容を含むおそれがありますので、18歳未満の方の閲覧を禁止させていただきます。ご了承下さい。


※SSLシリーズでは、特に公式にない設定をかなり、作っております。
おい!って思われるだろう設定もあるかもしれません。 特に、たとえ、史実をほのめかす内容があったとしても、史実の隊士たちや、御家族にも、全く無関係の創作であると強く主張致します。
公式を離れた内容に抵抗がある方にもお勧めできませんので、宜しくお願いします。 それらもふまえたうえで、それでもOKという方のみ、ご覧下さい。


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